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「化学合成油」「合成油」には定義はない

前回、化学合成油とか合成油には、公式な定義はないと書きました。ではなぜ定義がないのでしょうか。答えは定義を「性能」から決めるのか、「製法」から決めるのか業界をまとめることが出来なかったからです。

これにはベースオイルの精製方法の進歩が関わっています。最初は、小さな分子を合成して大きな分子にしたベースオイルの性能が良いためこれをこれまでのベースオイルと区別して「合成」として販売していました。しかし精製方法が進歩し、原油を精製しても同じ性能が出せるようになりました。

例えば1から10までの数字がはいった袋があるとします。袋から適当に1つをとりだすと出た数字の平均は5.5ですが1が出たり10が出たりします。これを鉱物油とすると、47迄までの数字だけを入れた袋が「化学合成」となります。平均は同じ5.5でも4から7しか出ません。大きな数字と小さな数字が取り除かれてより均等になります。

袋の中を「47」にするためには、「45674つの数字を集める」か、それとも「12389106つの数字を取り除く」かの違いです。結果はどちらも47(平均5.5)となります。私も個人的には「性能」で見ればと思いますがその性能を表す言葉が「合成」では誤解を生じるもとにもなりますので、本来は「グループⅢ」や「VHVI」(高粘度指数基油)の表示が正しいのではと思います。将来きちんとしたルールが出来ることが望まれます。

現在はグループⅢに加えてグループⅢ+(プラス)などと言う表示も出来ていますがこちらも定義はありません。

「化学合成」「合成」について定義がないことを書いてきました。ではベースオイルにはどのような定義があるのでしょうか。グループⅠからグループⅤまでAPIではどう定義されているのか次回をお楽しみに。

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