猿には出来ないオイル作り⁉
以前のオイルマニアブログに書きましたが、ある意味エンジンオイルは猿でも作れます。もちろん十数年以上前は違いました。昔はコンポーネントと呼ばれる10種類以上の添加剤(清浄剤・分散剤・防錆剤・摩擦低減剤などなど)を独自の技術で配合して製造していました。
でも今は簡単です。指定されたベースオイルに ①DIパッケージ ②粘度指数向上剤(VII) ③流動点降下剤(PPD)の3つを入れて混ぜるだけです。さらに最新のものは①と②だけで出来ます。つまり全くの素人でもエンジンオイルを作れます。これが猿でも出来る理由です!!
しかしこうやって出来たエンジンオイルは規格に通る最低限程度の性能しかありません。ここからいかに性能を上げて行くのかが腕の見せ所です。
まずはどんなエンジンで、どんな使用をするかが大切です。近所に買い物に行くのとレースで走るのでは当然要求性能がことなります。
「そりゃレーシング用は難しいよね!」と思うでしょうが、矢沢永吉さんみたいに10m先のタバコ屋にキャデラックで出かけるのもエンジンには超シビアコンディションです。要求される性能は全く違ってもどちらも難問です!!
さてここからが猿では出来ない部分です。
要求性能に合わせてベースオイルを組み替えて改善し、粘度指数向上剤を用途に合う種類の高性能タイプに変え、摩擦低減剤(FM剤)を組み合わせ高性能オイルを作り上げて行きます。もちろん触媒への影響・蒸発率(NOACK)・HTHS・シール適合性や大事なことですが経済性も考えないといけません。
ベースオイルだけとってもPAOやエステルにすれば良いってものではありません。粘度の問題もあります。またシール適合性・相溶性・極性など、それぞれに頭を使います。ここに長年の知識と経験が必要です。資料だけ見て作るのは危険で間違った資料も多くあります。「そうそう、資料信用してたらやられたよ」って言う方はかなりのオイルマニアです。
素晴らしいオイルはオイルマニアの熱意から生まれます。常に最高のオイルを求めるオイルマニアをお待ちしています。