粘度指数向上剤(VII)の真実 その2 せん断安定性(SSI)について
2019年5月15日「粘度指数向上剤の真実」の続編です。せん断安定性指数(SSI)についてよく質問が多いので少し詳しく書きます。
粘度指数向上剤(VII)の性能を表すものに「せん断安定性指数=SSI」があります。
これは一定期間使用後にVIIがどれだけせん断するか数値化したものです。
SSI=(新油粘度―使用後油粘度)÷(新油粘度―ベースオイル粘度)×100(%)
※数値が高いほどせん断がはげしく粘度低下がおきます。
粘度指数向上剤での増粘分がどれだけがせん断(粘度低下)するかと言う指数です。
SSIが25なら増粘分の25%下がります。下がるのは増粘分だけです。
では具体的に書いてみます。
以下すべて100℃粘度です
BS粘度=ベースオイル粘度
ケース① SSI 50の場合
BS粘度 =6
粘度指数向上剤増粘分 =5
新油粘度 BS粘度6+増粘分5 =11
使用後粘度 BS粘度6+増粘分2.5 =8.5
ケース② SSI 25の場合
BS粘度 =6
粘度指数向上剤増粘分 =5
新油粘度 BS粘度6+増粘分5 =11
使用後粘度 BS粘度6+増粘分3.75=9.75
ケース①では新油で30番の粘度が使用後は20番に落ちていますがケース②では30番のままです。
ここでするどい超オイルマニアなら粘度低下はSSIだけではないとわかると思います。
答えは粘度指数向上剤の添加量(=どれだけベースオイルから粘度をあげたか)です。
添加量が少なければSSIが悪くても粘度低下はあまり起きません。
これを別の例で説明します。
ケース③ SSI 50 添加量が少ない場合
BS粘度 =8
粘度指数向上剤増粘分 =3
新油粘度 BS粘度8+増粘分3 =11
使用後粘度 BS粘度8+増粘分1.5 =9.5
どうですか。SSI50使用でもケース②と同じ程度の粘度低下しかしていません。ベースオイルの選択と粘度指数向上剤の選択は深い関係があります。
この理屈がわかればあなたもオイルブレンダー(業界用語ではフォーミュレーターと呼びます)の第1歩を踏み出せますよ!!
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「MAKADO OIL T-BLEND」はきちんと粘度指数向上剤の性質を理解し使用後の粘度低下まで考えブレンドし製造しています。