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粘度指数向上(VII)の真実 その5 常識が覆された! 超マニア限定記事

粘度指数向上剤の働き しかし…

 

この記事は「超マニア」向けです!興味を持つ人は日本で100人いないと思います。

現在でもエンジンオイルの開発は経験に頼る部分が多く、理由はわからないけど経験上こうなると言うことの積み重ねが沢山あります。しかし近年分子・原子レベルで観察できるようになってきました。

上記の図は粘度指数向上剤(VII)がどのように効くかの図で一度は見たことがあると思います。VIIはオイルが冷えているときは小さく丸まり油中で抵抗が少なく、温度が上がると伸びて大きくなり油中で抵抗が大きくなり高温で粘度を保つということを図式化したものです。私もずっとこれで説明してきました。
ところが最近開発されたSANS(中性子小角散乱法 Newtron-Small-Angle-Scattering)ではオイル中の粘度指数向上剤を実際に観察出来るようになって来ました。それは従来の常識を全く覆す驚きの事実でした!

代表的な粘度指数向上剤であるPMAとOCPを観察した結果、特にOCPでは高温で直径が大きくならない場合(粘度指数向上剤を溶かすベースオイルの種類にもよる)があり、直径が大きくなることだけで粘度指数を向上させているのではないとわかりました。つまりこれまでの上記の図は必ずしも事実ではなかったということです。もちろん高温で直径が大きくなるPMAタイプはより粘度指数が上がります。

経験的に粘度指数向上剤の種類が違うと同じ量入れても粘度指数の上がり方が異なるのはわかっていますが、私はVIIの分子量の違いと思っていました。実はそれだけではなさそうです。相溶性(油溶性)と絡めて考える必要がありそうです。今後経験と実験結果を併せて開発することが必要です。

※この研究は世界的添加剤メーカー「ルーブリゾール社」が行っています。添加剤メーカーは常に基礎研究に多額の費用をかけています。その成果は最終的に弊社を含む多くのオイルに反映されています。なお原文(英語18P)に興味がある方はご連絡ください。

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