アルキルナフタレン AN その3 意外な用途 裏技も!
添加剤的な使い方をするANですがではどのような目的で使用するのでしょうか?
意外ですが一番は相溶剤・安定剤としての使用です。添加剤にはモリブデンをはじめオイルに溶けにくいものがあります。ベースオイルの精製が良いほど溶けにくくなり、鉱物油なら簡単に溶ける添加剤がグループⅢやPAOには溶けにくく、また溶けたと思っても析出して沈殿します。さらに最悪なことに沈殿時にちゃんと溶けていた添加剤まで道連れに沈殿します。そこでANの出番です。溶けにくかった添加剤も溶け、溶けているようで安定してない添加剤もちゃんと安定させます。地味ですが他の添加剤の効き目をしっかり助けています。
次にANには極性からくる潤滑作用があります。エステルに似た作用で摩擦低減やドライスタートに効果があります。エステルより摩擦低減効果は少なめですが逆に添加剤の競合吸着が起きず他の添加剤、特に摩擦低減剤(FM剤)の効果を邪魔しません。(エステルは他の添加剤の働きを阻害します)エステルは嫉妬深いグラマー美女、ANは控えめで他人を立てる美女という感じです。
あとナフタレン環がラジカル捕捉体的に働き酸化安定性を向上させます。さらに熱安定性にも優れオイルの性能を全体的にあげます。新油の高性能を長持ちさせます。
最後にあまり知られていませんがシールの保護にも使用出来ます。ANは緩やかにシールを膨脹させます。シールを収縮(エストラマーシュリンク)させる傾向のPAOと組み合わせて使用すると効果抜群です。これは裏技です。ANにはこれ以外にも加水分解安定性も増すなど利点がたくさんあります。
まとめ ANは地味ですが高性能オイルを製造に絶大な効果を発揮します!
おまけ ANに興味がある方は20L単位でよければ小分け出来ます。HPよりお問合せ下さい。
代表性状は 100℃粘度4.7 40℃粘度29 粘度指数74 流動点-39℃です。