HTHS粘度(高温高せん断粘度)とは! その1 わかりやすく説明
2020年7月15日「T-BLEND SPオイルの性能 その6 HTHS粘度について」と内容が重なりますがHTHS粘度についてよりわかりやすく説明します。
通常、オイル粘度は40℃・100℃で粘度を測定した数字です。オイルをただ温めて粘度を計測しています。
これに対して「HTHS粘度=高温高せん断粘度」は、「150℃の高い油温」で「金属同士でオイルをぎゅっとはさみガンガン押し付けて回転」させ「粘度を保つためのポリマーが無理やり引き伸ばされている」過酷な状況で粘度を測っています。カムやリフター・軸受け・ピストンリングやシリンダーなどの状況を再現した実効粘度です。ここが全く違います。ベッドに寝て安静時に血圧を測るのとダッシュしながら血圧を測るくらいの違いです!
ここでマニアなら「油温が150℃ってレース以外にある?」という質問が出ると思います。するどい質問です。通常走行では油温は100℃以下が多く油温150℃になることは通常走行ではまずありません。しかしここが大切なところですが、実はHTHS粘度が高いオイルは150℃以下の油温の時でも耐熱、耐せん断性にすぐれ、油膜を保ち摩耗を防ぐトータル的に優れたオイルということが知られています。ダッシュで血圧が低い人はジョギングでも血圧は低いって感じです。
ではどの程度HTHS粘度があれば大丈夫でしょうか?HTHS粘度が2.6を下回ると摩耗量が非常に増加することがわかっており、2.6以上がエンジン保護の1つの基準です。通常0W20で2.6程度です。これより低粘度オイルは摩擦対策がきちんと考えられているかよく確かめて選ぶ必要があります。そうでないとエンジンの寿命を削って燃費を伸ばしているようなものです。
まとめ HTHS粘度は高いほどエンジン保護に優れています。ただHTHS粘度は高くなるほどねばくなるので燃費は少しずつ落ちます。走り方やエンジンにより選んでください。私見では燃費を気にしなければHTHS2.9以上がより安心です。特にやや古め(セラミックベアリング以前)のターボ保護には2.9以上がお勧めです。
超マニア向けおまけ HTHS粘度には150℃以外にHTHS粘度100℃もあります。現在あまり使用されていませんが今後省燃費に関連して注目されています。
なお「T-BLEND SP」のHTHS粘度は下記の通りです。