欧州車向け新規格 ACEA2020(2021) 動向と特徴 2020年夏
欧州車向けエンジンオイル規格「ACEA2020(仮称)」の最新情報です。2019年末時点では「ACEA2020」規格は2020年後半に出る予定でしたが現在コロナの影響もあり2020年末は絶望視されています。しかし遅れていますが規格制定に向けて向け確実に動いています。現在の情報では2021年になると思われます。
「ACEA2020」の大きな特徴は3つです。
①LSPI対策 直噴ターボ車では低速・高負荷時、激しいプレイグニッション(LSPI)が発生しノッキングや場合によってはエンジンの損傷につながります。オイル中のCa系清浄分散剤が原因の1つです。LSPIの発生回数を大幅に減少することを目指しています。テスト方法はILSACで採用された「Sequence IX」が採用予定です。
②チェーン摩耗対策 特に直噴エンジンに多いタイミングチェーン摩耗対策としてこちらもILSACで採用された「Sequence X」チェーン摩耗テストを採用予定です。チェーン摩耗量の上限を定めチェーンの摩耗の大幅低減を目指しています。
③ターボチャージャー向けのデポジットテストの更新 ターボチャージャーの効率向上とそれによりエンジンの効率向上を目指して新しいターボチャージャーのデポジットテストが開発されます。余談ですがこのテストの開発にはトヨタが大きく貢献しています。
この3点が「ACEA2016」からの大きな変更点です。これ以外にも現在開発中のM271EVOスラッジテスト等多くのテストが変更される予定です。
API・ILSAC規格では2020年5月に「SP GF-6規格」が制定されLSPI対策やチェーン摩耗対策が出来ています。一日も早い「ACEA2020」の規格制定が望まれます!
おまけ ACEA規格は欧州自動車メーカーを中心に自動車会社16社が規格を作成します。現在コロナの影響で自動車販売が激減し、各自動車会社にとって自動車販売や工場の稼働が最優先課題のため規格が遅れ気味です。