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有機モリブデン 使用上の注意 その7 温度依存性

境界潤滑域での摩擦低減に効果的なモリブデンですがその潤滑性能はさまざまな環境条件の影響を受けます。その中で大きなものに温度(油温)があります。

 モリブデンの効果が出るには通常80℃以上の油温が必要と言われています。ただ適切な補助添加剤を使用すれば60℃位から効果が出ます。(もちろんT-BLENDでは使用しています)つまりモリブデン単体では油温80℃以下では効果にばらつきが出ます。ここをより詳しく説明します。

 上記のグラフは東北大学などの研究結果でPAOにモリブデン220PPMを入れて併用添加剤にCaスルホネートを使用して計測しています。ボールオンディスクテスターという金属板に金属の丸いボールを押し付け回転するテスターで60分間連続して摩擦係数を計測すると

  • 油温25℃(常温)では摩擦係数はほぼ下がらず摩擦低減効果はでません。
  • 油温40℃では大きなばらつきが出て効果も少な目です。
  • 油温60℃では摩擦係数が10分程度で04に下がりますがばらつきが出ます。
  • 油温80℃では5分で035まで低下し安定した効果があります。

 つまり併用添加剤があっても60℃以上必要で、なければ80℃以上が必要です。

ハイブリッド車のように油温が60℃から70℃程度しか上がらないエンジンに対しては「モリブデン+併用添加剤」以外に別のアプローチも必要と言うことです。ここが技術の差です。摩擦低減剤は適切に組み合わせることが大切です。

 

 

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