燃費 その2 摩擦低減剤と省燃費の関係
燃費向上にはオイルの低粘度化が効果的です。しかし当然ながら指定粘度より低粘度オイルは使用出来ません。つまり5W30指定のエンジンには0W20は絶対使用出来ません。
そこで同じ粘度で燃費を上げるには摩擦低減剤(FM剤)が必要です。ここでは良く知られている①有機モリブデン ②エステル(有機FM剤)をオイルに配合しトヨタDOHCエンジンでファイアリング燃費テストした結果を例に説明します。
比較基準は0W20でモリブデン・エステル無配合です。まず基準油と粘度が異なるため粘度補正をかけます。基準油は0W20なので補正値は0W20⇒0W16で0.2%、0W20⇒0W8で0.6%とします。(私見による数値)
その結果が上記のグラフです。粘度から来る燃費の向上は補正済みです。
結論としては
- モリブデン配合0.5~0.9%程度燃費改善
- エステル配合0.4~0.5%程度燃費改善
これは粘度で言えば1ランク~2ランク(例えば0W30⇒0W20や0W16)低粘度化した場合に相当します。つまり、モリブデンやエステル配合などFM剤配合の高級オイルは省燃費にも向いていると言えます。
マニア向けおまけ
では「モリブデン+エステル」両方ではどうなるでしょうか。単純に「相乗効果ですごく良くなる」と思ったマニアは初級、「確かエステルはモリブデンの効果を邪魔するのでは…」と考えたマニアは中級、「モリブデンとエステルの種類と量、補助添加剤の考慮が必要」と考えるのは上級マニアです。
ちなみに「T-BLEND SP規格」には「モリブデン+コンプレックスエステル」が内緒で配合済みです。