タイミングチェーンと摩耗について その2 なぜ問題になるのか 摩耗のメカニズム
SP規格がSN規格より優れている点がタイミングチェーン摩耗対策です。タイミングチェーン(以下チェーンと記載)摩耗が大問題になった理由は省燃費化の要望により直噴ターボエンジンが増え従来のエンジンに比べて ①オイル中のすす(カーボン)混入の増大 ②省燃費化のためオイルの低粘度化(0W8や0W16の採用) ③直噴エンジンに多い未燃焼ガソリンの混入の増加による粘度低下 ④ターボ化で馬力が向上しチェーンへの負荷が増大 ⑤オイルの酸化による劣化 などチェーンにとりこれまでにない非常に過酷な状況となり摩耗が増大したからです。
つまりチェーンに従来以上の強い力がかかるにも関わらず逆にオイルは低粘度化し摩耗しやすくなりました。
チェーンが摩耗すると ①カムシャフトの位相遅れによるエンジン性能低下 ②カムチェーンのバタつきによる異音 が起き、さらに摩耗が進むと最後には ③チェーンがスプロケット歯先に乗り上げチェーンが破断します。
チェーンの摩耗はチェーンがスプロケットに巻き付く際にチェーンが屈曲することで起きます。わかりやすくいうとまっすぐなチェーンがぎゅっと曲がる時に摩耗が起きます。オイルから見ると相対速度ほぼ「0」の境界潤滑からぎゅっと曲がる運動中の混合潤滑の間を行き来しています。非常に厳しい状態での潤滑です。この金属と金属が高い圧力でこすれている状態でも摩耗を防ぐには摩擦係数を減らす摩擦低減剤(FM剤)と粘度を保つ強いベースオイルが必要となります。
タイミングチェーン摩耗を防ぐには A.チェーン素材の改良 B.オイル(潤滑)の高性能化 の両面からの取り組みが必要です。
オイルマニアブログではこのうちオイルについて書いていきます。
次回は「チェーン摩耗の3つの段階」についてです。