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固体潤滑剤とは その4 窒化ホウ素=ボロン なくなる?!

窒素とホウ素が六角形に並びそれが層状構造に

窒化ホウ素はセラミックの一種で白色です。「ボロン」「ファインセラミックス」とも言います。成分は窒素とホウ素で六角形の網目状でこれが何層も積み重なった層状構造です。この網目は強固ですが、網目と網目の間は軽く動くので横滑りすることで潤滑をします。例えるとバナナの皮でつるりと滑る感じです。以前ルマン24でM社の優勝に貢献したことでも有名です。

利点は実用耐熱温度が約700℃と非常に高く、PTFEの260℃、モリブデンの約300℃~350℃と比較して格段に耐熱性があり化学的安定性も良く衝撃にも強い潤滑剤です。色も白色でオイルに入れても少し白くなる程度です。(PTFEと似た色です)欠点はやや摩擦係数が高めなのと、耐荷重がPTFEよりは上ですがモリブデンやタングステンより低めな点です。

非常に優秀な「窒化ホウ素」ですが2020年位から困ったことになりました。実はオイルに使用出来る高性能品が製造中止になり弊社でもあと1年分位の在庫しかありません。現在市販されている窒化ホウ素はグリス用、切削工具、焼き物の離型剤など工業用で粒子の大きさがまちまちでオイルに対して分散安定性が悪く、弊社で一度テストしましたが効果ももう1つでかつ沈殿がひどく使えませんでした。

オイル用には ①高純度かつ微粒子で大きも一定 ②オイル中に分散安定する技術 が必要でこの技術があるのは弊社の知見では世界にドイツのHe社しかありません。その会社が製造中止しました。性能的には素晴らしくても販売量が少ないからと思います。復活することを強く望んでいます。ちなみに工業用の窒化ホウ素は粒子の直径が大小入り混じり5~300㎛程度ありますが弊社使用のオイル用は0.3~0.4㎛程度で大きさが揃っています。オイル用はこれだけの性能差があります。

次回はあまり知られていない「二硫化タングステン」についてです。日本ではまだ誰も知らない最新の技術動向も盛り込む予定です。お楽しみに!

 

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