固体潤滑剤とは その8 まとめ なぜ今固体潤滑剤なのか?
現在固体潤滑剤はオイルに使用されることは割と少なめです。しかしあえて「固体潤滑剤」を取り上げたのには意味があります。
1つは新車の半分以上は油温が上がらないハイブリッドエンジンになり「「有機(液体)潤滑剤」の効果が出づらくなったことです。例えば液体の有機モリブデンでは油温が80℃以上にならないと効果が弱めですが、固体潤滑剤は極低温から高温まで温度に関係なく一瞬で摩擦低減効果を発揮します。ギアオイルに固体潤滑剤の使用が多いのはギアオイルの温度があまり上昇しないからです。グリスも同じ理由です。
2つめは固体潤滑剤の分野で「フラーレン」「ナノチューブ」など「ナノレベル」の添加剤技術が発達したことです。「固体潤滑剤」と言うより「ナノ潤滑剤」と表記した方が正しいかもしれません。「カーボンナノチューブ」や「カーボンフラーレン」・「ナノ・ダイヤモンド」などがあります。その中でも最先端技術の「多層フラーレンタングステン」がついに手が届くようになりました(とはいえまだ高価で入手困難ですが…)
最新の固体潤滑剤(ナノ潤滑剤)にはこれまでの常識を超える性能があります。しかし同じ物質でも微細化・分散安定性など加工技術の差で性能に大きな差が出ます。さらに固体潤滑剤には色や、製造上、そして安定性(沈殿の可能性)の問題もあります。
欠点があるから使用しないのか、欠点はあっても優れた点が多いので使用するかの判断です!
おまけ 固体潤滑剤もさまざまな補助添加剤との組み合わせが大切です。ここがノウハウです。
おまけ2 上記の写真は左が液体の有機チタンです。右は固体潤滑剤の多層フラーレン二硫化タングステンです。固体潤滑剤といっても実際は溶剤(オイル)で溶いてあり液状です。ビーカーに入れるとガラスの隙間に入りこみガラスが薄くくもり洗浄しても落ちなくなるくらい細かい「ナノ潤滑剤」です。