2021年5月 オイル業界が「オイル切れ」? 業界裏話
2021年5月オイル業界は大混乱です。まさにオイル切れを起こしかけています。
最大の問題はベースオイル不足です。特に入手が困難なのがエステルとPAOです。グループⅢもタイトです。世界的なベースオイル不足にはいくつか理由があります。
エステル・PAOは原料の不足で製造工場が一部停止中です。鉱物油やグループⅢはコロナ下での航空機燃料等の需要減少により原油精製量が減少し生産量が減っている上に船舶用燃料C重油の低硫黄化でベースオイル成分が燃料用に使用されたこと、世界最大の産油国アメリカの大油田テキサスが2月の大寒波で生産が一時停止したことなど多くの要素が重なっています。また世界最大規模のグループⅢ製造工場も6月末まで定期修理中です。まさにベールオイルは世界的に不足です。
添加剤もテキサスの大寒波で2月にフォースマジュール(契約不履行)が出た影響が今も大きく出ています。かつコロナによる港湾荷役の遅れと船舶やコンテナ不足で欧米からの添加剤到着が遅れに遅れています。そのため一部添加剤で欠品や数量制限が出ています。
となると当然価格は高騰します。原油価格の高騰に加え、タンカーなど輸送コストの上昇、さらに中国の景気回復で世界からベールオイルやオイルを高値で大量に購入していることなど多くの理由でなにもかも価格が上がりより入手困難な状況です。
輸入オイルもこれまで日本に安いオイルを輸出していた韓国やインドネシア・シンガポールなどが原料不足や原料価格高騰で製造があまり増えず、さらに日本のオイル価格が世界水準と比較して安いため日本以外に輸出した方がより儲かるので日本への輸出量を大幅に減らしているようです。
製造会社では原料の手当てで悩み、海外オイルに頼っていた会社は輸入が減少し厳しい状況にあります。まさにオイル屋が「オイル切れ」寸前です。弊社ではなんとか乗り切っていますが厳しい状況があと数か月続きそうです。
最後に厳しいとはいえ買いだめする必要はないです!!これはあくまで現在の製造段階での話で整備工場やオイル販売店には十分在庫があり切れることはないので安心して下さい!