DLCについて その4 まとめ DLCとオイル その問題点と将来
DLC(ダイヤモンドライクカーボン)についての最終回です。DLCコーティングは低摩擦化と部品の耐久性向上に効果がありますがオイルにとっては難しい問題があります。
難しい理由ですが「オイル用添加剤」はこれまで金属系素材(主に鉄)に対して効果を発揮するように開発されて来ました。これに対してDLCなどの「機能性炭素系コーティング」は素材が炭素(C)で、金属ではないため、従来の金属系素材に効果がある添加剤が効かなかったり逆に異常摩耗の原因になったりします。「無機物の金属」と「有機物の炭素」という性質が全く異なるものに同時に対応するという難しさです。例えるとこれまで「ロボット専用」に開発していた添加剤を「ロボット」と「人間」の両方に効果があり悪影響がないものを開発するようなものです。
「DLCにはDLC専用オイル」と考えるメーカーもあると思いますが本来この考え方は間違っていると思います。(もちろん私見ですが)仮に「DLCエンジンにはDLC専用ガソリンが必要」と言われると「?」となるはずです。「どんなオイルでも大丈夫なDLCエンジン」と「DLCエンジンにも大丈夫なエンジンオイル」の開発がともに必要です。
これからも新たな添加剤の開発と組み合わせで、「低摩擦化」と「DLC耐久性向上」を目指す研究が続きます。
オイルマニア向けおまけ 参考文献
「DLCとオイル」についてはなかなかまとまった文献資料がありませんが日本トライボロジー学会の「トライボロジスト VoL.63 NO.1 2018」が「機能性炭素コーティング特集」で参考になると思います。