2021年10月 オイル業界の近況 ベースオイルと添加剤
ベールオイル
ベールオイル価格は3ヶ月に一度価格改定があります。2021年は1、4、7、10月の4回とも鉱物油・グループⅢ・PAO・エステルすべて大幅値上げでした。これだけでもかなりの打撃です。しかし来年1月はグループⅢが通常の値上げ(現在原油価格は過去最高水準)に加えて「計算方式の変更」が予想されこれまでにない値上げとなる可能性があります。実は日本のグループⅢベールオイルはCIFと言う計算方式で国際価格と比較してかなり割安です。この計算方式をICISと言う国際的な計算方式に変えて国際水準まで値上げされそうでこれまでより大幅な価格改定となる可能性があります。現在メーカーと交渉中です。入手については原油精製量がコロナ前より少ないため世界的にややタイトな状況が続きそうですが特に大きな影響は出ていません。(PAO・エステルの一部を除く)
添加剤
添加剤は数回にわたる値上げも問題ですが入手困難も大きな問題です。エンジンオイルに使用するパッケージ添加剤などはほぼ問題はありません。それより船舶輸送の遅れで納品待ちになる方が心配です。しかし工業用添加剤(特にコンポーネント)は8月末に過去170年で最強レベルの「ハリケーンアイーダ」がルイジアナを直撃した影響で弊社に連絡が来ているだけで10社以上の石油化学プラントでフォースマジュール(契約不履行宣言)が出て混乱に追い打ちをかけています。この影響はこれから特に工業用添加剤に出るのではと思います。
その他 長期的なベースオイルの状況
長期的にはグループⅠの製油所は世界的に古い設備から順次廃止されていて生産量が減少傾向です。使用量も減少しているため大きな問題になっていませんが、高粘度オイルを製造するのに便利なブライトストックが不足しそうで懸念されます。グループⅢは世界的に製造量が増えていますが高級オイル志向で使用量がより増えており世界的にやや取り合いのため高値どまりが続いています。ただ夏頃に比べて需給が安定し価格も以前よりは落ち着いてきています。PAOやエステルはフォースマジュールなどえ種類により入手が難しいものがあります。
マニア向けおまけ
添加剤には大きく分けて①パッケージ②コンポーネントがあります。パッケージは清浄分散剤や消泡剤・防錆剤などをひとまとめにしたもので「麻婆豆腐の素」のようなものです。コンポーネントは添加剤単品で麻婆豆腐なら砂糖や食塩や豆板醤などを単品ごとに買うイメージです。添加剤メーカーはパッケージを優先製造するためコンポーネントを単体で使用する工業用がより不足する原因となっています。