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エステルの難しさ!  ほぼむだ話 沈殿しました! 

左の2本が白濁沈殿してます

 

今回はほぼむだ話です。「こんなこともあるんだ!」程度でお読みください。

あまり知られていませんが数年前、某有名メーカーのエステル入りオイルの缶の底からかなりの量の白濁した異物が出て問題となり、私もその動画を見せて頂きびっくりしました。当時はエステル会社の製造ミスと言われていましたが、気になりそのエステルを取り寄せて他のエステルと併せて保管テストをしました。約2年間経過を観察した結果が上の写真です。(写真はエステル単体でオイルではありません)

試験管に4種類のエステルを詰め室内で2年間常温で保管した結果、左の2本は夏でも白濁し沈殿しています。どちらも世界的メーカーのエステルです。一番左は「エステル入り高性能オイル」用、その隣は「省燃費規格 GF-6」に使用するエステルです。数年前に問題を起こしたのは左端のエステルですが、違う製造ロットでも沈殿し、また他の種類のエステルでも沈殿が起きました。数年前のトラブルの原因は、個人的にはチョイスしたエステルの種類と濃度の問題かなと感じました。

エステルは種類が多く性能に大きな差があるためどのエステルを選択するか、またどのエステルを組み合わせて使用するか、添加量の限界はどこかなど深い知見が必要で私もまだまだ毎日勉強中です。

オイルを製造したその場はきれいに溶解していても外気温の変化で保管中に白濁、沈殿したようです。この沈殿はオイル全体を60℃位に加熱してきちんと攪拌すればもとに戻るはずですが、沈殿する際に他の添加剤をみちづれにするいわゆる「共連れ沈殿」することがあり注意が必要です。また販売後はどうしようもありません。オイルにエステルを使用するのはなかなか難しいものです。

最後にエステルでも添加剤でも同じですが、効果があると思うとどうしても高濃度に入れたくなりますがどんなものにも利点と欠点があります。オイルは1つの性能ではなく、さまざまな性能のバランスを考えて製造していることをご理解ください。つまりなんでも「やりすぎると毒ですよ」ということです。

 

おまけ 

沈殿の原因はむずかしいですがエステルがもつ極性に関係がありそうです。極性をわかりやすく説明すると両手に10Kgずつ荷物を持つと重いですが安定しますが、片手で20Kgを持つとより歩きにくいです。このかたよりが極性で、エステルには右手だけで持つ人と左手だけで持つ人が入り混じり、歩きにくくてぶつかりしゃがみこむので沈殿するというイメージと思います。(まさに素人考えですが…汗)

 

おまけ2 

エステルは効果も大きいですが沈殿や、他の添加剤との競合吸着、エラストマーへの攻撃性(膨潤作用)などがあり、かつ種類により極性の強さが全く異なるためいろいろ難しいので私はアルキルナフタレン(AN)を使用することが多いです。ちなみに超有名な「なんとかワン」オイルもANを使用とうわさされています。これ以上はオイル業界にいれなくなるので書けません!

 

 

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