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エンジン摩耗について その10  ハイマイレージ(多走行、過走行車)について

エンジン摩耗は少ない方が良いですがすでに多くの距離を走行しているハイマイレージ車のオイルはなにが良いでしょうか?

実はハイマイレージ(多くの距離を走行した車)のきちんとした定義はなく、例えばモービルは6万キロ、バルボリンは5万キロ走行した車としています。個人的にはエンジン摩耗がすすむ8-10万キロ走行程度かと思います。(海外では10万キロ程度が多いようです)

では新車のエンジンとハイマイレージではどこが違うのでしょうか?その違いは ①経年変化によるシールの収縮・ひび割れ ②エンジン各部にスラッジやカーボンがたまる ③金属部分の摩耗 などがありこの対策が必要です。

まず①のシールについてですが、古くなった輪ゴムが弾力がなくなりひびわれ切れる感じでシールも収縮とひび割れがおきます。主なシールは ①クランクシャフト フロントシール ②クランクシャフト リアシール ③オイルフィルターOリング ④オイルパンシール ⑤バルブステムシール リップシール などがあります。傷んだシールはオイル漏れやにじみの原因になります。

収縮しひび割れたシールを回復するには2種類の添加剤が必要です。1つはシールを元の厚みにもどすエステル系添加剤で、もう1つはひび割れたシールの傷をうめる添加剤です。ただエステル系は極性が強いものを使用するとシールが膨らみ過ぎてオイル漏れを起こすのでここはかなり技術が必要です。ひび割れをうめる添加剤(ここは秘密です)は同時に清浄効果もあるため②のエンジン各部にたまったスラッジなどを取り除く効果もあります。

この①②の添加剤をまとめて「ハイマイレージ添加剤」とよび、この添加剤をいれたオイルが「ハイマイレージオイル」です。もちろんメーカーによりハイマイレージ性能は異なります。

弊社のオイルでは「T-BLEND ACEA A3/B4 SP」にこのハイマイレージ添加剤が入っています。このオイルのシール回復性能は下記のようなものです。

ハイマイレージ添加剤の効果で時間の経過とともにオイルの漏洩量が未添加とくらべ1/5程度まで減少していることがわかります。

最後にハイマイレージ添加剤はグラフのように数日では効果はでません。逆に数日で効果を出そうとするとシールへの影響が大きすぎて逆に大きな漏れの原因となります。ここがハイマイレージ添加剤の技術的に難しいところです。

 

次回はハイマイレージエンジンの摩耗対策について書く予定です。

 

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