レーシングオイルについて その2 ベースオイル
レーシングオイルにとってベースオイルはとても大切です。
性能的には、①高油温に耐える耐熱性能 ②低摩擦係数でエンジンを軽く回す性能 ③すぐれた冷却性能 ③ミスファイヤ後の異常燃焼での大きな燃焼圧力にも耐える性能 ④マルファンクション(エンジン不調)時の大量の未燃焼ガスの混入に耐える性能 などが必要です。
そのためレーシングオイルには、非常に体力があるPAOや摩擦係数を下げるエステル系のベースオイルが使用されます。例えば耐熱性能ですがベースオイルにより大きく異なります。
鉱物油 グループⅠ 100℃~120℃
グループⅢ・VHVI 170℃~200℃
PAO 200℃~230℃
脂肪酸エステル 180℃程度
POEポリオールエステル 200℃程度
200℃なんて油温にはならないと思われるかも知れませんが、油温は油温計のついている位置の温度で、例えばクランクピンは200℃近くまであがります。この場合鉱物油では焼け付く可能性があります。
摩擦係数低減には、よくエステルが使用されますが、このエステルは非常に種類があり、どのエステルを使用するかで全く性能が変わります。ここは複雑なのでエステルについては次回書きます。(エステルは企業秘密なのであまり誰も書いてないと思います…書けるとこまで書きます)
おまけ
現実の本格レースでの悩みはオイルが増えることです。最近のレースではバイオ系燃料が使用され(細部は毎年のように変更有)。この燃料が特に低温時大量にオイルに混入し、オイル粘度を大幅に低下させます。通常のガソリンなら油温があがると蒸発しますがバイオ燃料は揮発しづらくどんどんたまります。レースが終わるとオイル量が20~30%増えることもあるようです。解決策は燃料の揮発温度をさげることでオイルでの対応はなかなか難しいです。ただ粘度低下を見込んだ粘度調整が必要です。
最後にCMタイム いつもすみません_(._.)_
T-BLEND PURE RACING Plusは、PAOより高性能な ①PAO+(プラス) ②mPAO(メタロセンパオ) と高性能エステルの ③POE(ポリオールエステル)のみ使用です。