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レーシングオイルについて その3 エステルについて

エステルは金属表面にびっしりつきカーペットの表面のように摩擦を低減します

 

レーシングオイルにとってベースオイルはとても大切です!

今回はレーシングオイルに良く使用されるエステルについて書きます。エステルを利用する最大の理由は、エステル自体が摩擦係数を下げてエンジンを軽く回すからです。まるで添加剤のような働きをします!

エステルは例えると「磁石に長い糸がついている」感じで、無数のエステルの磁石部分が金属表面にひっつき、後ろの長い糸がカーペットのように金属表面につくことで、金属をつるんと軽く滑らせます。これがエステルの効果です。

エステルには大きく、①モノエステル ②ジエステル ③ポリオールエステル(POE) ④コンプレックスエステル の4種類があり、①②③の順に磁石の数が増えて、より強く吸着し摩擦がより低減します。④は高粘度エステルで粘度を上げる時に使用します。このようにエステルは種類がありそれぞれ効果が異なるため適切なエステル選びが大切です。

さらに「レースにしか使用しないオイル」なら考慮はいりませんが、「レースにも使えるオイル」の場合はシールへの影響と加水分解性を考える必要があります。シールについてはエステルのシール攻撃性(膨張)とPAOのシール攻撃性(収縮)をうまく組み合わせてシールへの影響を最少に抑えます。加水分解についてはヒンダードタイプと呼ばれる加水分解しにくい構造のエステルを選択します。(レース専用なら考慮は不要です。つまりレース専用オイルの方が簡単です)

最後にレース用オイルで一番考える必要があるのが温度帯による摩擦低減効果の切り替えです。エステルは低温からある程度の高温まで効果を発揮しますが、ある温度で効果が落ち、別のモリブデンやチタン系の添加剤が効果を発揮します。ここはノウハウなので詳しく書けませんが低温から高温がエステルで高温から超高温が別の添加剤がエンジンを守ります。

 

ここでCMタイム  m(__)m

T-BLEND PURE RACING Plusは、①PAO+(プラス) ②mPAO(メタロセンパオ) ③POE(ポリオールエステル)の3種類のベースオイルを使用しています。すべて高性能ベースオイルです。

 

おまけ エステルの加水分解とは?

エステルは吸湿性があり加水分解するものがあります。理由はエステルを作るにはある2つの物質を合わせて、そこから水分を抜いて製造するからです。例えると2枚の濡れたタオルを合わせて両手で水分を絞ると1つになります。ここに水をかけるとまた2つのタオルに戻ります。これが加水分解です。これを防ぐには絞ったタオルをビニール袋に入れることです。ビニール袋に入ったエステルをヒンダードタイプと呼び、加水分解しません。(正確には非常にしづらいです)

 

 

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