レーシングオイルについて その4 レースの添加剤
レーシングオイルはベースオイルが大切ですが添加剤も大切です。ベースオイルが基礎体力なら添加剤は技術です。プロ野球選手も、体力と技術がそろわないと良い成績はあげられません!
レースにはすごく特殊な添加剤(摩擦低減剤・耐摩耗剤)を使用していると思われがちですが、基本的には同じです。一番良く使われるものに有機モリブデンがあり、これでも十分な性能が出せます。ちなみに有名な●●レーシングオイルにはモリブデンが約1000ppm弱入っています。
本格レースではレース中、油温は100℃~110℃程度で安定し、常に高速回転しているため条件が一定しているのである意味わりと簡単です。
逆に「レースにも使用できるレーシングオイル」となると低温から超高温まで切れ目なく効果を出すことが必要になり油性剤と摩擦低減剤の適切な組み合わせが大切です。始動時の低温から80℃くらいまでをエステル系などで、80℃くらいから上を摩擦低減剤などで、切れ目のない効果をめざします。
温度以外にエンジン各部に係る非常に高い圧力に対して添加剤が必要です。流体潤滑・混合潤滑・境界潤滑・弾性流体潤滑とエンジン内部ではさまざまな状況がうまれています。「金属間に十分オイルが流れている流体潤滑」から「金属同士がガリガリぶつかり合う境界潤滑」までをカバーする必要があります。ここはどの程度の圧力に耐えるかの性能も大切です。
あまり詳しくはかけませんがPURE RACING Plusでは、極性の強いエステルで始動時からカバーし、高温はモリブデンより高温高圧に耐える有機チタン系でカバーしています。
レース用だからといって誰も知らないすごい添加剤があると思われている方には残念ですが、どの会社のレーシングオイルも温度や圧力を考えてよりよい性能をもとめて製造されています。
おまけ
レーシングカーの油温が100℃~110℃とやや高めなのは未燃焼ガスを蒸発させるためです。急ブレーキからの急加速などでどうしても未燃焼ガスが多くオイルに混入して粘度低下の原因となるので油温をあげて早めに蒸発させます。バイオ燃料はこの蒸発温度が高いため非常にやっかいでどんどんオイルにたまり粘度を低下させます。
おまけ
代表的な添加剤の効果や使用方法は以前オイルマニアブログの「添加剤等」にいろいろ書いているので参考にして頂ければと思います。ルマンでマツダが優勝した時も添加剤の効果がすごく大切だったそうです。(数年前にある理由でこの添加剤はなくなりました 弊社でも使用していましたが残念です)